切手の店を開きました その16

切手とは違う話になりますが10年くらい前にパリの切手商に行ったことがあります。
ウインドウにラオスプルーフが飾ってありました。
ラオスの切手はほとんど持っていたのですが、見たこともないものであったため多分ボーとみつめていたのでしょう。
そこへ子供の集団が新聞を持ってワッと何かを主張しながら寄ってきました。
何語かも分からないでいた私はひたすら”No”を繰り返すだけでした。
子供の集団が去り店に入った時ウェストポーチの財布が盗まれていたことに気が付きすぐに追いかけようとしました。
すでに子供の集団はどこに行ったのか分かりませんでしたが、一人の男が何かメダルのような証明書を見せながら大きな声で話しかけてきました。
その人はパリ警察の刑事で市内を巡回していたとき私の光景を見かけて何か盗まれていないか質問に来た刑事でした。
私の英語での説明(あまりうまいと言えないのですがいざという時は自分でもすごいと思うほどしゃべれるものです)で財布を盗まれていることが分かったため、改めてパリ市警で事情聴取が行われることとなりパトカーに乗って警察に行きました。
事情聴取の間にユーゴスラビアからの移民の子供の集団がつかまって連れてこられたのですが、結局お金はもどりませんでした。
外国のパトカーに乗る貴重な経験はしたのですがラオスプルーフが買えなかったのが残念でした。

後日談ですが、半年くらい後にパリ市警から手紙が届きました。
フランス語のできる友人に読んでもらったら、「財布が見つかったが中身は入っていない、送料を送ればおりかえし財布を日本に送る」との内容でした。
もちろん、このような縁起の悪い財布は処分して欲しいと返事をいたしました。